新装版 竜馬がゆく (3) (文春文庫)

歴史音痴な私は、教科書知識もあやふやで純粋に小説を愉しんでいますが、著者は大量の資料に目を通されたのでしょう。その中での解釈も含まれるでしょうが、その労力にも感服しながら非常に分かりやすく、勝海舟と竜馬との関係性や多くの人がどのように尊皇攘夷、倒幕という思想の中で揺れ動いていたのかと理解が深まります。その中で竜馬のシンプルな思想は、興味深く感銘も受けます。まさに現代のグローバル社会の中で、国益を考えるからこそ、何をすべきなのか...大河ドラマでも竜馬が取り上げられた理由が分かるような気がします。途中の周布の剣舞、西郷隆盛の余興には思わず吹出しそうでした。明治維新を経てその後の歴史で活躍する人がどのような経緯で行き着いていったのか分かるかと思いますので、省察とはいえこのような本を学生時代に知っていたのであれば、歴史アレルギーもなかったのかとも感じながら...。とはいえ、この年齢になったからこそ、学ぶ意味もまた受験期とは違うモノで、引き込まれるのかもしれません。各々人間味のある話にぐいぐいと引き込まれ、歴史上の転換期でもある続きが愉しみでもあります。